気候変動対策につながる製品・サービスの選び方:賢い消費のための視点
私たちの日常生活における製品やサービスの選択は、一見個人的な行動に思えますが、その背後には複雑なサプライチェーンが存在し、地球の気候に影響を与えています。気候変動への関心が高まる中で、日々の消費が気候変動対策にどのように関わるのか、そしてどのような視点を持って製品やサービスを選べば良いのかについて、基本的な考え方をご紹介します。
なぜ消費行動が気候変動に関わるのか
製品やサービスは、原材料の調達から製造、輸送、使用、そして廃棄に至るまで、ライフサイクル全体を通してエネルギーを消費し、温室効果ガスを排出します。例えば、製品の製造には工場での大量のエネルギーが必要となり、遠方から運ばれる場合は輸送に伴う燃料消費が発生します。私たちが製品を使用する際にも電気を消費したり、最終的に廃棄される際には焼却や埋め立てによる排出が生じたりします。
このように、私たちが製品やサービスを「消費する」ということは、単に購入するだけでなく、そのライフサイクル全体に間接的に関わることになります。気候変動対策の視点からは、このライフサイクル全体での温室効果ガス排出量をいかに削減できるかが重要な課題となります。
気候変動対策につながる製品・サービスの選び方
では、どのような点を意識して製品やサービスを選べば、気候変動対策に貢献できる可能性があるのでしょうか。いくつかの視点をご紹介します。
1. ライフサイクル全体での環境負荷を考慮する
製品を選ぶ際には、単に価格や機能だけでなく、その製品が作られ、使われ、そして廃棄されるまでの全ての段階で環境にどのような影響を与えるかを想像してみることが重要です。
- 原材料: 環境負荷の低い原材料(リサイクル素材、持続可能な方法で生産された資源など)を使用しているか。
- 製造: 再生可能エネルギーを利用するなど、製造工程での排出量が少ないか。
- 輸送: 地元で生産されたものや、輸送距離が短いものを選ぶ。
- 使用: 省エネルギー設計になっているか、長く使える耐久性があるか。
- 廃棄: リサイクルしやすい素材でできているか、修理して長く使うことが可能か。
サービスについても同様に、その提供方法や運営において、環境負荷の低い取り組みが行われているかを確認することが考えられます。
2. 環境認証マークやラベルを参考にする
多くの製品やサービスには、特定の環境基準を満たしていることを示す認証マークやラベルが付与されています。これらの認証は、第三者機関によって評価されたものであり、一定の信頼性があります。
- エコラベル: 製品のライフサイクル全体での環境負荷が低いことを示すラベル。
- FSC認証: 責任ある森林管理から生産された木材製品に付与される認証。
- MSC/ASC認証: 持続可能な漁業・養殖業で獲られた水産物に付与される認証。
- カーボンフットプリント表示: 製品のライフサイクル全体での温室効果ガス排出量を示したラベル。
これらの認証マークは多岐にわたるため、全てを把握するのは難しいかもしれませんが、自身がよく購入する製品分野に関心のある認証マークについて調べてみることから始めることができます。
3. 企業の取り組みや情報開示を確認する
製品やサービスを提供している企業自身の気候変動対策への姿勢も重要な判断材料となり得ます。企業のウェブサイトやサステナビリティ報告書には、温室効果ガス削減目標、再生可能エネルギーの導入状況、サプライチェーンでの取り組みなどが記載されている場合があります。
透明性の高い情報開示を行っている企業は、環境問題に対して真摯に向き合っている可能性が高いと言えます。ただし、情報の内容が信頼できるものかを見極める視点も必要です(信頼できる情報源の見分け方については、別途記事で解説しています)。
4. 「所有」から「利用」への視点を取り入れる
製品を購入して所有するだけでなく、シェアリングサービスやサブスクリプションサービスを利用することも、新たな選択肢となり得ます。これにより、一つの製品を多くの人が共有し、全体の生産量を抑えることにつながる可能性があります。
また、製品を使い捨てるのではなく、修理して長く使ったり、不要になったものをリサイクルしたりすることも、廃棄段階での環境負荷を減らす上で重要です。
まとめ
私たちの消費行動一つ一つが、気候変動という大きな課題に無関係ではありません。製品やサービスのライフサイクル全体を意識し、環境認証マークや企業の取り組みを参考に、そして「所有」だけでなく「利用」や「修理・リサイクル」といった視点を取り入れることで、より賢い選択をすることができます。
完璧を目指すことは難しいかもしれませんが、今日から一つでも二つでも、自身の消費行動を見直してみることが、気候変動対策への一歩となります。どのような製品を選んでいるか、なぜそれを選んだのか、他の人はどんな視点を持っているのかなど、情報交換を通じて新たな発見があるかもしれません。